安息のバーモント州
~ チャンプレーン湖に沈む夕日を眺めながら
写真・文 青木多佳子 (NY営業)
PHOTO・TEXT BY TAKAKO AOKI
9月の空は青い。だけど5月のわくわくするような空と違って、これから厳しい寒さに向かう前の穏やかな秋の空である。紅葉にはまだ早いが、連れと2人、車に荷物とギターを積みニュージャージーのホーボーケンを出発。一路北を目指す。
北のメーン州やニューハンプシャー州への向かう道路沿いの風景は月並みである。緑色が続き田舎でもなく都会でもないような道が一様に続く点ではどこも似通っている。同じ北でも西海岸の北、ワシントン州のように針葉樹林など背が高い木はあまりみられないのは降雨量の違いだろうか。
ところがバーモント州はその州内に入るとおびただしいほどの木々に出くわす。走っても走ってもあますところなくふさふさの葉をつけた木々が波のように続く。これがバーモント名物の紅葉となるのだろう。ところどころ葉の色が赤や黄色に変わり始めているが、残念ながら紅葉が満開となるにはあと1ヶ月ほど待たなければならない。
車で7、8時間走ると視界が開け、河川が見え隠れする。ここが今日の目的地チャンプレーン湖畔。この湖は米国6番目の規模を誇り、バーモント州とニューヨーク州の州境を流れ、北はカナダのケベック州にまで及ぶ。湖といっても地形状は細長く大きな川にも見える。名前の由来はフランス人の探検家サミュエル・ド・シャンプランから名づけられたそうだ。
昔は商業用の港もあり、往来する船も多かったようだが今はそんな活気のあった時代を偲ばせるものもない。
この湖から眺める夕日は格別でそのためホテルやB&Bが点在する。今回我々の宿泊地として選んだ場所は湖畔に大きな敷地を持つ「ベイシンハーバークラブ」。コテージが湖沿いに点在し、ゴルフ場やテニスコート、スイミングプールもある一大リゾートである。しかしリゾートと言っても観光客が押しかけるわけではなく、客層は見た限りでは、品のいい中流~上流階級の白人ばかり。半分はリタイアー組だろうか。

BASIN HARBOR CLUBのフロントの建物―外観
部屋タイプはふつうのゲストルームやスイートもあるが、それよりも湖畔にたつコテージ(一軒屋風)がいい。我々が宿泊したコテージにはMONTEVISTA(モンテビスタ)という名の表札があり、2ベッドルーム、2バスルームとリビングルーム、キッチン付。なんといっても、2つのベッドルームの窓とリビングルームのバルコニーから眺める湖は最高である。ゆっくりと流れる水のきらめきと静かなせせらぎ。対岸はニューヨーク州となる。ニューヨークでもマンハッタンを離れれば自然を満喫できるのだが、なぜかニューヨークという響きが仕事のストレスを思い起こさせ、「あちら側にはもどりたくない」とひとりでに拒否反応にも似た目で対岸を見やってしまう私。そんな私の気持ちを察するべくもなく、連れはのんきに湖を眺めながら、バルコニーに立ちギターをかき鳴らしている。音を出しても大丈夫。一軒家どうしが離れているため騒音に巻き込まれないのもコテージ滞在の魅力である。(しかし逆に夜寝ているときに外で物音がするのはちょっと怖い)。
コテージから見るサンセットは幻想的
滞在はパッケージで2食付。 夕食は結婚式の会場にもなりそうなガラス張りのレストラン。敷地内にあり、入り江を見やりながら静かに晩餐を楽しむことができる。朝食会場もこの場所でバフェスタイルとなる。豪華な朝食をスキップして、筋トレに出て行ってしまった連れに唖然としながらも、このまたとない朝食を見逃すわけには行かず、アジア人たった一人、勇気を出して朝食会場へ。連れは病気とうそをつきどうにか体裁を整える。どうか鉄アレーを持った連れが入ってきませんように。
オムレツ、ベイクドポテト、ベーコン、ソーセージ、フルーツ。食材も豊富なメニューの数々。バフェではあるけれども連れのために勇気を出して、テイクアウトしてもいいか聞くと、親切にもプラスチックバッグをいっぱいもってきてくれた。
さて、ここは18ホールのチャンピョンシップゴルフコースを併設しており、フロントを出ると広々とゴルフ場のグリーンが広がっている。皆カートで移動しているが、確かにはるか遠くが見えないほどの敷地。歩いたら日が暮れそうだ。サイトを見ると6500ヤード以上の規模で、48バンカー、ショートフロントナインはブルーティーから3054ヤードなどといった記載があるが、ゴルフをやらない私にはちんぷんかんぷんである。ゴルフは年を取ってからでもやれると思っている私だが、近くでは小学生とおぼしき子供たちがグループになってゴルフを教わっている。だんだんゴルフプレーヤー層も若年化してきたのだろうか。

広々としたゴルフコース
宿泊パッケージにはサイクリング用の自転車レンタル券やカヌー一日券が付いていたが、結局敷地内を徒歩で見学するに終わった。2泊3日じゃちょっと物足りない。1週間くらいあればのんびり別荘にいるような気分でくつろげるのにー。

湖に張り出したバルコニー。対岸のNY州が臨める
Basin Harbor Club
4800 Basin Harbor Road, Vergennes, VT 05491
RSV: 800-622-4000
WEB: http://www.basinharbor.com/welcome-offseason.php
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米国北東のカナダと接するエリアはニューイングランドとして知られています。ボストン同様早くからヨーロッパの移民が移住してきたエリアで今現在の居住者は白人ばかり。人種のるつぼと言われるアメリカには珍しい地域です。これといった目玉となるスポットもないので日本のガイドブックではめったに紹介されていません。しかし、派手に観光地化されていない分、日ごろのストレスを解消し、目に映る、音に聞く、香りを感じるその自然を満喫し、ただ静寂の中に身をゆだねたい、そんな休息を過ごしたい人にはお勧めのスポットと言えるかもしれません。

